ピエロ

またあなたは次のターゲットを見つけているのね
味わうとすぐにポイッしてまた次
同じことを繰り返し繰り返し
まるでメリーゴーランド

金の馬にまたがったおどけたピエロは
いつも新鮮な獲物を狙っている

あたしもサークルの中に紛れ込んだ
ぐるぐるぐるぐるポイ
憎らしいから撃ち落してやる
するとピエロは回転を早め
笑って馬の上で逆立ちをしてみせる

馬鹿にして・・・
狙いを定めて打ち放とう

ふと一緒に笑いながら楽しんだトキが
脳裏をよぎる
その瞬間手元が狂って女にあたった
でも女はピエロの喜びの中にいて噴き出す血に
気がつかない
ピエロは女を放り投げ
笑ってわたしをもう一度メリーゴーランドに
乗せようと必死に手を伸ばす
わたしはつかまらないようにするりと
その手をかわす　
　
その時・・・
ああ。甘い甘い素敵な香り
そして太鼓やラッパの楽しい音楽
わたしはほんとはそれをまっていたかもしれない
ピエロと楽しんだ時間を思い出す

でも一瞬ピエロの目は殺意を放つ
わたしはそれを見逃さず
隠し持っていた鎌を力いっぱい振り上げて
ピエロの首を切り落とした
これでピエロは二度と獲物を狩ることはないだろう

ピエロはおどけて歌い踊ることも
ピエロはわたしに微笑みかけることも
抱きしめることも
キスすることも
決して決して
・・・・・・・ないだろう

メリーゴーランドが悲しそうに回っている
くるくるくるくる回っている